“ヒップホップはまさに“事件”だった。米国発の音楽が世界を席巻したのは、1930年代のスウィングジャズの出現以来のことだったし、米国の大人た
ちがこれほど激怒したのは、英国からビートルズが米国を“侵略”し、エルビス・プレスリーが表舞台から退場させられて以来のことだった。ヒップホップは、
ラップと呼ばれる音楽と、地下鉄の車両や建物の壁面に描かれた落書き、そしてブレイクダンスがまとまってできた挑発的な文化で、浸透した先々でその地のポ
ピュラー音楽の概念をぶち壊した。ブラジルではラップはサンバに負けないほど人気があり、中国では10代の若者が万里の長城にスプレー缶でグラフィティを
描く。フランスでは、ヒップホップはこの数十年で最悪の社会不安を引き起こしていると、不当なレッテルを貼られている。 ヒップホップは独特かつ複雑な構造で、時に不可解ですらある。取りこんだ音楽はなんでも自らの血肉とし、人気を当てこみ食いつくそうと群がる業界
をよそに変容し、次々に新たな大ヒットを生み出す。定義されることを拒む一方、世界中の社会をいろいろなやり方で定義づける。どれだけ不当に扱おうと、過
小評価しようと、骨抜きにしようと、あるいは分類や分析をしようと、私たちの世代の多くにとってヒップホップは謎のままだ。だがヒップホップは、世界中の
若者たちの高らかな自己主張の叫びなのだ。そろそろ私たちの世代も、ヒップホップに目を向けるべき時かもしれない。”
— 特集:世界を席巻する黒人音楽 2007年4月号 ナショナルジオグラフィック NATIONAL GEOGRAPHIC.JP (via slowleaner) (via kml) (via handa) (via gkojay) (via gkojax)